認知症と運転免許

2019.05.09

こんにちは。

GWはゆっくりできましたでしょうか。

クリニックも5月7日から診療を再開しております。

 

さて今回は認知症と運転免許に関してふれます。

最近も、高齢者ドライバーによる痛ましい事故が話題になりました。

  

少し前に、認知症が疑われる方は運転免許更新の際に

ちょっとした手続きが必要になりました。

2017年3月の道路交通法改正で、

免許更新の時に「認知症のおそれがある」と判断された場合には、

医師の診断書が必要になるというものです。

 

  

いままでは、

「認知症のおそれがあって」

さらに

「一定の違反行為があった人」

に関して医師の診断書が必要でしたが、

この改正では違反があってもなくても、認知機能検査でひっかかった人は

医師の診断が必要になるのです。

「なんだ面倒だな」と思いながら、

病院に行ってもそこで「う~ん、認知症ですね」と診断されてしまうと、

免許更新が不可能になります。

  

  

今までに車を頼りに生活していた方は困ってしまいますよね。

もし街の中心部にお住まいであれば、電車やバスなどの移動手段があります。

タクシーを利用してもいいかもしれません。

スーパーや食料品店も近くにあるでしょう。

ところが、ちょっと中心部を離れれば

「車がないと食べ物も手に入れられない」なんてことがありますよね。

  

国は高齢者ドライバーを減らしたがっています。

そうなれば今後は確かに事故の発生件数は減っていくでしょう。

ただし同時に、移動や配送の手段などインフラの拡充はきちんと考える必要があります。

特に郊外に住む高齢者にとっては死活問題になります。

交通手段にとぼしい地域にお住いの高齢者からすれば、実はそんな簡単な話ではないですよね。

  

昨今の取り返しのつかない事故を考えると

やはり、きちんと向き合うべき問題でしょう。

認知症と介護

2019.05.01

令和になりましたね。

新しい時代でも、みなさまと健康におつき合いできればと思います。

  

さて前回のコラムで、認知症は

「子どもが発達していくのと同じように、

発達を逆行するような退行のプロセスをみている」

とも考えられるとお話しました。

  

医療や介護の現場だけでなく、日常の風景でも

認知症のあるご高齢の方に対して、つい幼児言葉をなげかける光景をよく見かけます。

  

「おばあちゃん、ご飯こぼしちゃったんだ」

「おじいちゃーん、おトイレすませてきちゃってね」

  

よく耳にするやりとりです。

意識していなくとも、知らないうちに子どもと同じ面影をご高齢の方に感じているのかもしれませんね。

これは、よく解釈すれば愛らしい存在として認識しているのでしょう。

  

ただし、

発達している途中の子どもと、

退行の過程にある認知症の方には大きな違いがあります。

その方が経てきた経験・歴史でしょう。

ご高齢の方々はいわば人生の大先輩です。

私たち介護者の世代を育てながら、日本の高度成長を支えてきた方ばかりです。

  

  

  

  

ですので、ご高齢の患者さんには

“尊敬・感謝”の気持ちを常に抱きながら医療・介護にあたりたいなと私自身は思っています。

とはいえ、時によって介護の現場は壮絶です。

闘いといっても過言ではないことも多くあります。

家族を含めた介護者が

常に尊敬の念をもって介護にあたれるような認知症のコントロールをめざして、

日々の診療をつづけていきたいと考えています。

認知症

2019.04.29

ものを記憶したり、状況にあわせて適切に行動したりする能力を

「認知機能」と表現します。

認知機能が低下してくる状態が認知症です。

  

 ここで、ヒトの一生をちょっと振り返ってみましょう。

乳幼児が小・中学校を経て高校・大学生や社会人になります。

社会性などを学び環境に適応できるようになっていく過程を

「発達」

といいます。

社会性や学力の向上とともに、運動能力・心肺機能も

成人するにつれて向上していきます。

     

   

    

     

  その一方で年を重ねると、

ピークを過ぎるようにこれらの能力は徐々に低下していきます。

いわば「退行」していくわけです。

心肺機能・筋力が低下してくるのと同じように、

脳の機能も加齢とともに必ず低下していきます。

ですから認知機能の低下も、どんな方であれ、皆さん早かれ遅かれ必ず経験することになります。

百歳を過ぎた自分を想像してみるとよくわかると思います。

残念ながら癌や心筋梗塞・脳卒中をわずらい、

この「退行」が起こる前にいのちを落とされる方が少なからずいます。

これらの方は、見かけ上は認知症にならないで最期を迎えているのです。

別の言いかたをすれば、幾多の病気・ケガを乗り越えた方が

認知症の段階までたどり着いたと考えることができます。

    

  

  

  

認知症を “病気” ととらえることもできますが、

発達と反対の「自然に起こる退行の過程をみているんだ」と考えると、

認知症の受け入れ方も多少かわってくるのではないでしょうか。

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