脳卒中のあとの手足のつっぱり

2019.07.16

みなさん、こんにちは。

なかなか暑くなってこないものですね。

暑がりの自分としては快適なのですが、

野菜のお値段が高くなってしまうのも困りものですね(汗)。

  

今日は脳卒中後に生じてしまう、手足のつっぱりについてお話しますね。

近年の医療の進歩により、脳卒中で亡くなる方は減少しています。

ところが、脳卒中がおこってしまったために、

色々な後遺症を抱えている方もいらっしゃると思います。

こうした後遺症が日常生活の支障となり、

介護されているご家族の方に大きな影響を及ばすこともあるでしょう。

その中で、手足の筋肉が緊張して起こる“つっぱり”についてお話します。

例えば、

指をグーで握りこんだまま開かず、

手洗いができなかったり、

爪が切れないという困ったことがあります。

肘が”くの字”につっぱってしまって伸びないために、

着替えの時に痛い思いをしたり…。

なかには見た目を気にされている方もいると思います。

   

  

  

  

これらの症状が起こる原因としては、

神経の働きにより筋肉が異常に緊張してしまうことにあります。

このような手足のつっぱりに対する治療法の一つとして、

ボツリヌス療法というものがあります。

以前のブログで顔面のけいれんの時にも出てきた注射の薬です。

      

  

      

  

筋肉を緊張させている神経の働きを抑えるために注射を打ちます。

すると、

筋肉が柔らかくなり、

つっぱりの痛みが和らいだり、

曲げたり伸ばしたりの動作がしやすくなる、

などのことが期待できます。

また、注射後にリハビリやストレッチを積極的にやることで、

この治療法の効果を最大限生かすことができます。

  

  

    

発症から時間が経っていても効果がでることが多くあります。

つっぱりに悩まれている方は、

一度トライしてみる価値は十分にあると思いますよ。

ぜひご相談をしてみるとよいと思います。

運動のしくみ2

2019.07.08

みなさん、こんにちは。

雨が降って、肌寒い日もあり、

日が照って、暑い日もあり、

気温の落ち着かいない日々ですね。

ここ最近、クリニックにも

「のどがいたい」「せきが出る」

などの症状に困って来院される方が増えています。

ぜひ、かぜにご注意くださいね。

  

今日は運動のはなしのつづきをします。

前回は、何気ないひとつひとつの動作は、

実は運動開始の1秒も前から脳活動が始まっているとお話ししました。

ちなみに、

脳の運動神経が「手を動かせ」と最終的な命令を出してから、

手の筋肉に命令が伝わるまで0.02秒しかかかりません。

この0.02秒の神経活動のために、

1秒という長い時間をかけて脳が準備を行っているのです。

手で触れたものの感覚情報が脳に伝わるのもおよそ0.02秒です。

また「位置について、よーいドン」の合図でからだの筋肉が反応するのは、

およそ0.1秒から0.2秒くらいです。

脳のなかでの運動の準備に1秒かかるというのが

非常に長いことがわかりますよね。

さて、この「よーいドン」の時に手足の筋肉がかたまってしまう病気があります。

  

  

  

  

「さあ、動かそう」

と思った時に手足が突っ張ってしまい、

動きがぎこちなくなります。

かけっこのスタートのとき、

野球で打球を追いかけようとしたとき、

剣道で技を出そうとしたとき。

どんな時でも運動開始時にのみ筋肉がかたまります。

  

  

  

    

これは「発作性運動誘発性ジスキネジア」という病気です。

医師の間でもあまり知られていないため、正確に診断されていないことがとても多いです。

“なんだろうかね~”

とわからないままになり、

また運動以外の生活では困らないために

診断されないままに生活を続けてしまうことがしばしばあります。

実はこの病気、「テグレトール」という薬を飲むことで症状の改善が期待できます。

遺伝したりすることもありますし、その程度もさまざまです。

心当たりがあれば、脳神経内科を受診してみましょう。

脳神経内科の専門医です

運動のしくみ

2019.06.28

こんにちは。

ジメジメする毎日ですが、いかがお過ごしでしょうか。

クリニックで受診されるようすをみていると、少し風邪の方が増えてきています。

寝不足などに注意して、しっかり休息をとるようにしてくださいね。

今日は、少し

「運動のしくみ」

についてお話ししてみようと思います。

  

  

  

  

「目の前に鉛筆が置いてあります。何かを書こうと思い、鉛筆に手をのばします。」

たとえば、このような動作についてちょっと考えてみましょう。

みなさんが、「鉛筆を取ろう」と思いついて、

腕を伸ばす時にはどんなことを考えていますか?

  

  

  

  

「何を書こうかな?」と思案していることが多いですかね。

時には、

「この鉛筆は書きやすいんだよな」

とか

「芯の先が丸まっているな」

など鉛筆そのものに関心をもって腕を伸ばすことがあるかもしれません。

ただし、

「鉛筆の先がこちらを向いているから、

親指と人差し指の位置をこのようにしてつまむように拾い上げ、

それから正しい握りに替えよう」

などと鉛筆をつかむ行為そのものに関心を持って拾い上げることは、

まずないと言っていいでしょう。

鉛筆をつかむ動作には色々な方法があるにもかかわらず、

人はこれらの単純な行為をいわば “無意識に” 行っています。

  

この一連の動きを “脳波” という脳神経の電気活動として記録することができます。

  

  

  

  

この脳波をみると驚くことに、

手の筋肉が動き始めるおよそ1秒も前から

脳は手を動かすプランを始めています。

つまり大げさに言うと、1秒も前から皆さんの動きの運命が決められているということです。

日常生活の中で無意識に行っている動きが、

脳のなかではすでに決められていると思うと不思議な感じですよね。

次回はもう少し、この運動の話をします。

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