運動のしくみ2
2019.07.08
みなさん、こんにちは。
雨が降って、肌寒い日もあり、
日が照って、暑い日もあり、
気温の落ち着かいない日々ですね。
ここ最近、クリニックにも
「のどがいたい」「せきが出る」
などの症状に困って来院される方が増えています。
ぜひ、かぜにご注意くださいね。
今日は運動のはなしのつづきをします。
前回は、何気ないひとつひとつの動作は、
実は運動開始の1秒も前から脳活動が始まっているとお話ししました。
ちなみに、
脳の運動神経が「手を動かせ」と最終的な命令を出してから、
手の筋肉に命令が伝わるまで0.02秒しかかかりません。
この0.02秒の神経活動のために、
1秒という長い時間をかけて脳が準備を行っているのです。
手で触れたものの感覚情報が脳に伝わるのもおよそ0.02秒です。
また「位置について、よーいドン」の合図でからだの筋肉が反応するのは、
およそ0.1秒から0.2秒くらいです。
脳のなかでの運動の準備に1秒かかるというのが
非常に長いことがわかりますよね。
さて、この「よーいドン」の時に手足の筋肉がかたまってしまう病気があります。
「さあ、動かそう」
と思った時に手足が突っ張ってしまい、
動きがぎこちなくなります。
かけっこのスタートのとき、
野球で打球を追いかけようとしたとき、
剣道で技を出そうとしたとき。
どんな時でも運動開始時にのみ筋肉がかたまります。
これは「発作性運動誘発性ジスキネジア」という病気です。
医師の間でもあまり知られていないため、正確に診断されていないことがとても多いです。
“なんだろうかね~”
とわからないままになり、
また運動以外の生活では困らないために
診断されないままに生活を続けてしまうことがしばしばあります。
実はこの病気、「テグレトール」という薬を飲むことで症状の改善が期待できます。
遺伝したりすることもありますし、その程度もさまざまです。
心当たりがあれば、脳神経内科を受診してみましょう。
運動のしくみ
2019.06.28
こんにちは。
ジメジメする毎日ですが、いかがお過ごしでしょうか。
クリニックで受診されるようすをみていると、少し風邪の方が増えてきています。
寝不足などに注意して、しっかり休息をとるようにしてくださいね。
今日は、少し
「運動のしくみ」
についてお話ししてみようと思います。
「目の前に鉛筆が置いてあります。何かを書こうと思い、鉛筆に手をのばします。」
たとえば、このような動作についてちょっと考えてみましょう。
みなさんが、「鉛筆を取ろう」と思いついて、
腕を伸ばす時にはどんなことを考えていますか?
「何を書こうかな?」と思案していることが多いですかね。
時には、
「この鉛筆は書きやすいんだよな」
とか
「芯の先が丸まっているな」
など鉛筆そのものに関心をもって腕を伸ばすことがあるかもしれません。
ただし、
「鉛筆の先がこちらを向いているから、
親指と人差し指の位置をこのようにしてつまむように拾い上げ、
それから正しい握りに替えよう」
などと鉛筆をつかむ行為そのものに関心を持って拾い上げることは、
まずないと言っていいでしょう。
鉛筆をつかむ動作には色々な方法があるにもかかわらず、
人はこれらの単純な行為をいわば “無意識に” 行っています。
この一連の動きを “脳波” という脳神経の電気活動として記録することができます。
この脳波をみると驚くことに、
手の筋肉が動き始めるおよそ1秒も前から
脳は手を動かすプランを始めています。
つまり大げさに言うと、1秒も前から皆さんの動きの運命が決められているということです。
日常生活の中で無意識に行っている動きが、
脳のなかではすでに決められていると思うと不思議な感じですよね。
次回はもう少し、この運動の話をします。
顔がピクピクする…
2019.06.21
こんにちは。
随分と気温が上がってきましたね。
今日は顔の筋肉のけいれんについてお話しをします。
外来で
「顔面の筋肉がピクピクと勝手に動いて気になる」
と時折相談を受けます。
若い方は中学高校生ぐらいから、ご高齢の方まで年齢は様々です。
女性のときも、男性のときもありますが、どちらかといえば、女性が多いかもしれませんね。
やはり女性は鏡を見る機会が多く、気づくのが早いようです。
たいていは片方の目の周りに症状が出ることが多く、
あまり両方で出てくることはありません。
よく見ると細かくふるえているときと、少ししっかりとパチパチしている場合とあります。
実は、みなさんの心配をよそに、多くの場合は病気と言えるものでなかったりします。
「良性眼けんけいれん」
(眼けんとは目の周囲のまぶたのあたりのことです)と呼ばれるもので、
睡眠不足や疲れで出てくることが多いものです。
ですので、少し休息を取るようにしたり、ストレスを減らすような生活をしたりすれば
知らない間に症状はなくなってしまいます。
また疲労がたまれば、出てきたりします。
一方で、なかには
「片側眼けんけいれん」
と呼ばれる、すこしやっかいな顔面のけいれんも時にみられます。
この場合は後頭部から首のつけ根にある小さな血管が
顔面にいく神経を圧迫することによって起こる症状で、
手術をしないと良くならない場合があります。
「いきなり手術?」
という方には、まず
「ボトックス」
という注射を行って症状を緩和する場合もあります。
診察すればだいたい見分けがつきますので、
気になる方は脳神経内科や脳神経外科の医師に相談してみましょう。