痛みのはなし

2019.05.16

こんにちは。

今日は痛みのおはなしをしますね。

  

痛いのはみなさん苦手ですよね。

でも逆に、私たち日本人にとって「痛みをガマンすること」も

ひとつの美徳と思われていた時代があります。

昔の“切腹”にあるように、

誇り高き武士の象徴のようなイメージがありますよね。

あまり「痛い痛い」というと迷惑をかけるから我慢しないと…

というような。

  

   

   

では医学的には「痛みをガマンする」って、どうなのでしょうか。

結論から言うと「余計な痛みはない方が良い」です。

“余計な痛み”というところがポイントです。

   

というのは、

痛み感覚が完全になくなってしまうと困ることが沢山あります。

例えば家の屋根から飛び降りて骨を折っても痛くなければ、

子供は面白くてこれを繰り返します。

火に触ってやけどしても痛くなければたくさんやけどして、

そのうち傷あとから菌が入って大変なことになります。

実際に、遺伝性(生まれつき)の病気で無痛症の患者さんがごくまれにいます。

痛みがないのは幸せそうに聞こえますが、それでも前述したように

行動に歯止めが利かなくなり、長生きできないことが多いのです。

  

ですので、からだを害から守るために、痛みというのは必要不可欠です。

でも必要以上に痛みにさらされるとどうなるか…。

脳の痛みセンサーが必要以上に反応するようになり、

過剰な痛みとその不安・恐怖を感じることになります。

すごくイヤな話ですね。

   

次回、またさらに詳しく痛みの話を続けますね。

認知症と運転免許

2019.05.09

こんにちは。

GWはゆっくりできましたでしょうか。

クリニックも5月7日から診療を再開しております。

 

さて今回は認知症と運転免許に関してふれます。

最近も、高齢者ドライバーによる痛ましい事故が話題になりました。

  

少し前に、認知症が疑われる方は運転免許更新の際に

ちょっとした手続きが必要になりました。

2017年3月の道路交通法改正で、

免許更新の時に「認知症のおそれがある」と判断された場合には、

医師の診断書が必要になるというものです。

 

  

いままでは、

「認知症のおそれがあって」

さらに

「一定の違反行為があった人」

に関して医師の診断書が必要でしたが、

この改正では違反があってもなくても、認知機能検査でひっかかった人は

医師の診断が必要になるのです。

「なんだ面倒だな」と思いながら、

病院に行ってもそこで「う~ん、認知症ですね」と診断されてしまうと、

免許更新が不可能になります。

  

  

今までに車を頼りに生活していた方は困ってしまいますよね。

もし街の中心部にお住まいであれば、電車やバスなどの移動手段があります。

タクシーを利用してもいいかもしれません。

スーパーや食料品店も近くにあるでしょう。

ところが、ちょっと中心部を離れれば

「車がないと食べ物も手に入れられない」なんてことがありますよね。

  

国は高齢者ドライバーを減らしたがっています。

そうなれば今後は確かに事故の発生件数は減っていくでしょう。

ただし同時に、移動や配送の手段などインフラの拡充はきちんと考える必要があります。

特に郊外に住む高齢者にとっては死活問題になります。

交通手段にとぼしい地域にお住いの高齢者からすれば、実はそんな簡単な話ではないですよね。

  

昨今の取り返しのつかない事故を考えると

やはり、きちんと向き合うべき問題でしょう。

認知症と介護

2019.05.01

令和になりましたね。

新しい時代でも、みなさまと健康におつき合いできればと思います。

  

さて前回のコラムで、認知症は

「子どもが発達していくのと同じように、

発達を逆行するような退行のプロセスをみている」

とも考えられるとお話しました。

  

医療や介護の現場だけでなく、日常の風景でも

認知症のあるご高齢の方に対して、つい幼児言葉をなげかける光景をよく見かけます。

  

「おばあちゃん、ご飯こぼしちゃったんだ」

「おじいちゃーん、おトイレすませてきちゃってね」

  

よく耳にするやりとりです。

意識していなくとも、知らないうちに子どもと同じ面影をご高齢の方に感じているのかもしれませんね。

これは、よく解釈すれば愛らしい存在として認識しているのでしょう。

  

ただし、

発達している途中の子どもと、

退行の過程にある認知症の方には大きな違いがあります。

その方が経てきた経験・歴史でしょう。

ご高齢の方々はいわば人生の大先輩です。

私たち介護者の世代を育てながら、日本の高度成長を支えてきた方ばかりです。

  

  

  

  

ですので、ご高齢の患者さんには

“尊敬・感謝”の気持ちを常に抱きながら医療・介護にあたりたいなと私自身は思っています。

とはいえ、時によって介護の現場は壮絶です。

闘いといっても過言ではないことも多くあります。

家族を含めた介護者が

常に尊敬の念をもって介護にあたれるような認知症のコントロールをめざして、

日々の診療をつづけていきたいと考えています。

03-3883-6180
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