パーキンソン病

2019.05.31

こんにちは。

いつもおつき合いいただきありがとうござます。

   

前回は手のふるえについて書きました。

「本態性振戦」による手のふるえは、

おもに何かしようとする(例えばペンで書く、箸で食べる)時に出てきます。

パーキンソン病による“ふるえ”は、それとは異なり、安静時に出てきます。

何かしようとすると弱まることが多いので、

実生活ではこのふるえで困ることは少ないようです。

ただし、安静時に出るので、ちょっと目立ちますよね。

ところがもっと困る症状があるのです。


以前につとめていた病院では、転んで骨折し、救急車で搬送される患者さんがたくさんいました。

その中に、実は以前から

「バランスが悪く転倒をくり返していた」

「歩くのが遅くなり、外出もしないようになった」

「歩幅が小刻みになった。特に歩き始めが悪い」

「小声になってしまい、(相手から)声が聞き取りづらくなった」

という方がしばしばみられます。

  

  

  

実は、これらの症状はパーキンソン病でよくみられる症状です。

中には、入院前から

「ほとんど家から出られず、身の回りのことも自分でできなかった」

「寝たきりに近い状態だった」

という方もいます。

そういった方が、

入院してパーキンソン病と診断され薬を飲むことで、

自分で歩いて通院できるようになった方もいます。


他の症状では、

「昔からしつこい便秘があった」

「ほかの人に見えないものが見える(幻覚といいます)」

「臭いがわかりづらくなった」

などの症状を伴うこともあります。

無表情になるので、“うつ”になったと間違えられることもあります。


これらの症状で思い当たる方(もしくはご家族)は

ぜひ一度、脳神経内科の受診をおすすめします。

手のふるえ

2019.05.25

昼間は随分と暑くなってきました。

いかがお過ごしでしょうか?

今日は手のふるえについてです。

みなさんは手のふるえを経験したことありますよね。

重いものを長時間もった後は、疲れてしまい手がふるえてきます。

ほかにもこまかい作業のときや緊張したときなども。

一方で疲れてもいないのに出てくる「ふるえ」が

40歳を過ぎてくると時折みられることがあります。

「じっとしているとふるえないけど、

ペンでものを書いたり、コップを持つと手がふるえてくる」

「ビールを飲むとふるえが良くなる」

「もう10年くらい症状あるけど、

もう慣れてしまって、ほかに支障がないから気にしていない」

など。

       

こういった訴えの方の多くは「本態性振戦」と診断されます。

(「振戦」というのは専門用語でふるえのことです)

動作の時に出てくる症状で、

緊張で悪くなることがあり、

逆に不思議なことですが、アルコールを飲むと良くなることがあります。

  

  

  

進行はゆっくりで、ほかの症状はまず出てきません。

ですので放っておいても良いのですが、

いくつかの薬が症状を和らげる場合があるので試してみる価値はあります。

仕事で細かい手作業が必要で、どうしてもふるえが困るという方は

ちょっと大きな治療になりますが、脳を電気で刺激する治療もあります。

最近は、先進医療で特殊な大型の超音波装置を用いて治療をすることもできるようになりました。

       

これとは別に手のふるえはパーキンソン病によって出てくる場合もあります。

最近はパーキンソン病が世間一般によく知られてきたために、

「手のふるえ=パーキンソン病」と勘違いされる方が増えてきています。

次回はパーキンソン病についてもお話ししましょう。

痛みのはなし2

2019.05.21

こんにちは。

いつもお読みいただきありがとうございます。

  

今日は前回の話の続きをしますね。

“痛み”についてです。

「余計な痛みはない方が良く、

必要以上に痛みがつづくと痛みセンサーが敏感になってしまう」

と書きました。

どうしてでしょうか。

  


痛みには二つの側面があって、

「ぴりぴり」「ジンジン」などの、“感覚”としての性質と、

「不快だ」とか「こわい」などの“心理的”な要素を併せもちます。

例えば、はじめて注射をうける子供は、その痛みがわからないので怖がりません。

ところが一度注射の痛みを知ると

2回目からは拒絶するように泣きわめきますよね。

   

   

   

これは「こわい」という痛みの記憶がよみがえるからです。

不快な痛みが続くと、脳の中ではどんどん恐怖が増幅して、

同じ強さの痛みもそのうち3倍にも5倍にもなってしまいます。

  


さらにもう一つ。

ヒトの神経のシステムにおいてもセンサー自体が痛みの情報に敏感になって、

センサーがどんどん増えてしまうことが科学的に証明されています。

このセンサーが増えてしまった後では、

今までに痛みと感じなかった弱い感覚でも

痛みに感じてしまうようなことすらあります。

悪いことづくめですね。

ですので、

センサーが敏感になる前に、

そして恐怖感が強くなる前に、

痛みは最小限に抑えるべきなのです。

   

痛みが少し長くなった場合、治療薬の使用は少しコツが必要です。

できれば痛みに詳しい医師に相談したほうが良いでしょう

脳神経内科やペインクリニックなどのドクターです。

  

  

   

あまり我慢せずに早めに相談してくださいね。

03-3883-6180
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