明け方にゴソゴソ…
こんにちは。
台風19号の影響で、まだ生活のままならぬ地域もありますね。
みなさま、またご家族、ご友人はご無事でしたでしょうか。
本当に、早い復旧を祈るばかりです。
さて、今回も外来で経験したエピソードをご紹介しますね。
83歳女性のAさんは、認知症で外来に通院されています。
ご本人は、いたってお元気ですし、転倒もなく楽しく生活されています。
今回外来でうけた悩みは同居するご家族(長女)のお話です。
「実は、母がまだ夜も明ける前から起き出して、
家の中を動き回り、ゴソゴソと荷物の整理をしはじめる。
その物音で目覚めて眠れないんです。
これって、どうにかならないんですかね。
せめて明け方まで寝ていてくれれば、こちらも休めるのですが…。」
と、すっかり寝不足のご様子です。
お話を聞くとどうやら、
「睡眠薬を使ってでも寝てもらいたい!」
とお考えのようなのです。

「日中も、デイサービスの時間以外は、ずーっと見守っているため、
夜くらいはきちんと睡眠をとりたい」 とのことでした。
そうなんです。本当に介護って大変なんです。
こればかりは経験しないとわからないこと。
「ご家族のサポートあっての、ご本人の生活」ですから、
これはどうにかしてあげたいなと思いますよね。
話を詳しく聞いてみると…
夕飯を19時ころに食べ終えたら、Aさんはすぐ床についてしまうとのことでした。
時間にして20時くらい。
どんなに遅くとも21時には寝てしまうとのことでした。
???
「60歳前後の成人の必要睡眠時間を6時間」と考えると
80歳過ぎの方は、もっと睡眠時間は少なくてすみます。
21時に寝たとしたら、朝3時ころに目覚めるのは、自然と言えば自然でしょうか…
そこで、ご家族には
「もし目覚めの時間をもっと遅らせたいようであれば、
就寝も少し遅くしたらいかがですか?」
とご提案しました。
すると、
「夜の時間は、自分の大切な時間。
母の介護から解放される貴重な時間なんです。
だから、母の寝る時間を遅くしたら、
今度は自分の時間がなくなってしまいます。」
とのことでした。
今回のはなしでは、これが正しい対応だというものはありません。
ただ、ひとつ言えるのは、
「薬を使用して睡眠時間を必要以上に長くする」
という対応は正しくなさそうです。
睡眠薬で、認知症の症状が悪くなることが、しばしばみられるからです。
もし何らかの手段で、(例えば、知人とのお電話やテレビをみたりなどで)
就寝時間を遅らせることができれば、というところですよね。

介護というものを考えさせられるエピソードでした。