認知症と介護
2019年05月01日
令和になりましたね。
新しい時代でも、みなさまと健康におつき合いできればと思います。
さて前回のコラムで、認知症は
「子どもが発達していくのと同じように、
発達を逆行するような退行のプロセスをみている」
とも考えられるとお話しました。
医療や介護の現場だけでなく、日常の風景でも
認知症のあるご高齢の方に対して、つい幼児言葉をなげかける光景をよく見かけます。
「おばあちゃん、ご飯こぼしちゃったんだ」
「おじいちゃーん、おトイレすませてきちゃってね」
よく耳にするやりとりです。
意識していなくとも、知らないうちに子どもと同じ面影をご高齢の方に感じているのかもしれませんね。
これは、よく解釈すれば愛らしい存在として認識しているのでしょう。
ただし、
発達している途中の子どもと、
退行の過程にある認知症の方には大きな違いがあります。
その方が経てきた経験・歴史でしょう。
ご高齢の方々はいわば人生の大先輩です。
私たち介護者の世代を育てながら、日本の高度成長を支えてきた方ばかりです。

ですので、ご高齢の患者さんには
“尊敬・感謝”の気持ちを常に抱きながら医療・介護にあたりたいなと私自身は思っています。
とはいえ、時によって介護の現場は壮絶です。
闘いといっても過言ではないことも多くあります。
家族を含めた介護者が
常に尊敬の念をもって介護にあたれるような認知症のコントロールをめざして、
日々の診療をつづけていきたいと考えています。