運動のしくみ
2019.06.28
こんにちは。
ジメジメする毎日ですが、いかがお過ごしでしょうか。
クリニックで受診されるようすをみていると、少し風邪の方が増えてきています。
寝不足などに注意して、しっかり休息をとるようにしてくださいね。
今日は、少し
「運動のしくみ」
についてお話ししてみようと思います。
「目の前に鉛筆が置いてあります。何かを書こうと思い、鉛筆に手をのばします。」
たとえば、このような動作についてちょっと考えてみましょう。
みなさんが、「鉛筆を取ろう」と思いついて、
腕を伸ばす時にはどんなことを考えていますか?
「何を書こうかな?」と思案していることが多いですかね。
時には、
「この鉛筆は書きやすいんだよな」
とか
「芯の先が丸まっているな」
など鉛筆そのものに関心をもって腕を伸ばすことがあるかもしれません。
ただし、
「鉛筆の先がこちらを向いているから、
親指と人差し指の位置をこのようにしてつまむように拾い上げ、
それから正しい握りに替えよう」
などと鉛筆をつかむ行為そのものに関心を持って拾い上げることは、
まずないと言っていいでしょう。
鉛筆をつかむ動作には色々な方法があるにもかかわらず、
人はこれらの単純な行為をいわば “無意識に” 行っています。
この一連の動きを “脳波” という脳神経の電気活動として記録することができます。
この脳波をみると驚くことに、
手の筋肉が動き始めるおよそ1秒も前から
脳は手を動かすプランを始めています。
つまり大げさに言うと、1秒も前から皆さんの動きの運命が決められているということです。
日常生活の中で無意識に行っている動きが、
脳のなかではすでに決められていると思うと不思議な感じですよね。
次回はもう少し、この運動の話をします。
顔がピクピクする…
2019.06.21
こんにちは。
随分と気温が上がってきましたね。
今日は顔の筋肉のけいれんについてお話しをします。
外来で
「顔面の筋肉がピクピクと勝手に動いて気になる」
と時折相談を受けます。
若い方は中学高校生ぐらいから、ご高齢の方まで年齢は様々です。
女性のときも、男性のときもありますが、どちらかといえば、女性が多いかもしれませんね。
やはり女性は鏡を見る機会が多く、気づくのが早いようです。
たいていは片方の目の周りに症状が出ることが多く、
あまり両方で出てくることはありません。
少しわかづらいですが、左顔面のけいれんです
よく見ると細かくふるえているときと、少ししっかりとパチパチしている場合とあります。
実は、みなさんの心配をよそに、多くの場合は病気と言えるものでなかったりします。
「良性眼けんけいれん」
(眼けんとは目の周囲のまぶたのあたりのことです)と呼ばれるもので、
睡眠不足や疲れで出てくることが多いものです。
ですので、少し休息を取るようにしたり、ストレスを減らすような生活をしたりすれば
知らない間に症状はなくなってしまいます。
また疲労がたまれば、出てきたりします。
一方で、なかには
「片側眼けんけいれん」
と呼ばれる、すこしやっかいな顔面のけいれんも時にみられます。
この場合は後頭部から首のつけ根にある小さな血管が
顔面にいく神経を圧迫することによって起こる症状で、
手術をしないと良くならない場合があります。
「いきなり手術?」
という方には、まず
「ボトックス」
という注射を行って症状を緩和する場合もあります。
こんな感じで注射します。
痛そうに見えますが、細い針なので
あまり痛くありません。
診察すればだいたい見分けがつきますので、
気になる方は脳神経内科や脳神経外科の医師に相談してみましょう。
頭痛のつづき
2019.06.14
こんにちは。
ジメジメの毎日ですね。
今日は頭痛のはなしのつづきをしますね。
前回までに、片頭痛と緊張型頭痛についてお話ししてきました。
今回はその他の「頭痛の原因となる病気」について述べましょう。
まずは有名な“くも膜下出血”があります。
脳のなかに起こる出血で、
一般的には
「突然に」
「何時何分のこの瞬間に起こった」
とわかる激しい頭痛が特徴です。
このくも膜下出血は、これまで述べた頭痛と異なり、
生命の危険を伴うために緊急の医療対応が必要です。
「晴天の霹靂」とも例えられるような頭痛が起きたら、
医療機関にすみやかに相談する必要があります。
なかにはごくまれに、このような急な経過をとらないくも膜下出血もあります。
“なんとなく、いつからとは言えない経過”で発症した重い頭痛で、
通常の外来を受診して脳のCTを撮影したら実はくも膜下出血だった、なんてこともありました。
そのほかにも、頭痛を訴えて受診し、脳のCTを撮影したら大きな脳腫瘍だったこともあります。
かぜをひいて、熱が出て、頭痛を伴うことはよくありますよね。
熱を伴う頭痛の中には脳髄膜炎といって、脳を包む膜の炎症ということがあります。
細菌が原因の髄膜炎はとてもやっかいで、入院の必要があります。
また同様に、
おでこの辺りの痛みでMRIを施行してみると副鼻腔炎(鼻の奥の細菌による炎症)だったこともあります。
このように頭痛を呈する原因は、色々とあるために
病歴とあわせてきちんと診断することが重要ですよね。