転倒のあとの脳出血

2019.08.17

みなさんこんにちは。暑い日が続きますね。

当院でもお盆休みをいただき、スタッフみんなリフレッシュいたしました。

8月16日から診療を再開しています。

  

さて今回は転倒のあとにしばしばみられる脳出血の話をしますね。

「慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)」という病気です。

聞きなれない難しそうな名前ですが、

高齢の方にはしばしばみられる脳のケガです。

転んで頭をぶつけて、頭の中に血液がたまってしまうのです。

    

82歳男性のAさんはある日玄関先で掃除をしていると、

段差につまずいて転倒してしまいました。

  

   

  

  

頭をぶつけた感じはなかったとのことです。

転倒後に腰痛がひどくなり、整形外科にかかって腰の骨を調べてもらいました。

幸い骨折はなかったそうで、腰痛も痛み止めで少しずつ良くなってきました。

ところが徐々に歩くのに力が入らなくなり、

トイレに行くのも大変になってしまいました。

ある朝いよいよ歩けなくなり、緊急入院となりました。

入院後さらに左の手足の動きが鈍くなり、ここでやっと頭のCTをとると、

なんと頭の中に血のかたまりができていたのです。

     

  

左と書いてある方のうっすら白く見えるのが
血液のたまりです。

  

  

このように、頭をぶつけたかどうかもわからない衝撃でも、

数日~数週をかけてジワジワと出血がかたまりのように大きくなることがあります。

数週間かけて脳の圧迫症状を出してくるのです。

転んですぐではなく、時間をかけて症状が出てくるので、

転んだことすら忘れていることがよくあります。

こうなったら、血液を吸い出す処置(手術)が必要になってきます。

こんなこともあるので、私たち医師も

「どうもおかしい」

と思えば脳のMRIやCTを行うようにしています。

この慢性硬膜下血腫は、本当に色々な症状ででてくるので、私たちを悩ませます。

不整脈で脳梗塞!?

2019.07.26

こんにちは。

いよいよ暑くなってきましたね。

台風が過ぎれば、夏本番に突入しそうです。

いかがお過ごしでしょうか?

  

今日は「ほうっておきたくない不整脈」のお話をしますね。

不整脈とは脈のリズムが乱れてしまうもので、

心臓の拍動のリズムが悪くなることです。

実はその不整脈のなかに脳梗塞をひきおこしてしまうものがあるんです。

  

     

「心臓のリズムの問題なのに、

なんで脳の血管がつまる“脳梗塞”になってしまうの?」

と思われる方もいらっしゃるでしょう。

 心臓は酸素を多く含んだ血液を全身に送るポンプの役割をしています。

そのポンプが一定の決まったリズムではたらくことで、

血液がよどみなく流れるようになっています。

ところが、このポンプのリズムが狂うと

血液のよどみが心臓の中でできるようになります。

血液はあるところにとどまると固まってしまいます。

皮膚で出血した時にかさぶたができるのと同じです。

もし心臓が不整脈のためにポンプ機能をちょっとの間やすめてしまうと、

血液のかたまりが心臓の中でできてしまうのです。

これを血栓といいます。

  

     

    

  

 心臓の中でできてしまった血栓が心臓の中にとどまってくれれば

あまり問題を起こさないのですが、

ときにポンプの圧力で心臓から外に押し出されてしまいます。

すると、心臓から近くにある血管が脳へむかう血管なので、

脳の中へ血栓が飛んでいってしまいます。

そうなると今度は、血栓が脳の中の血管でつまってしまいます。

血管がつまれば、血流がいかなくなり、脳の組織が死んでしまう…

つまりは脳梗塞になってしまいます。

脳梗塞の原因となる不整脈は、早ければ30代からでも起こり得ますので

注意が必要なのです。

脈や心電図はぜひ定期的にチェックしましょう。

    

脳卒中のあとの手足のつっぱり

2019.07.16

みなさん、こんにちは。

なかなか暑くなってこないものですね。

暑がりの自分としては快適なのですが、

野菜のお値段が高くなってしまうのも困りものですね(汗)。

  

今日は脳卒中後に生じてしまう、手足のつっぱりについてお話しますね。

近年の医療の進歩により、脳卒中で亡くなる方は減少しています。

ところが、脳卒中がおこってしまったために、

色々な後遺症を抱えている方もいらっしゃると思います。

こうした後遺症が日常生活の支障となり、

介護されているご家族の方に大きな影響を及ばすこともあるでしょう。

その中で、手足の筋肉が緊張して起こる“つっぱり”についてお話します。

例えば、

指をグーで握りこんだまま開かず、

手洗いができなかったり、

爪が切れないという困ったことがあります。

肘が”くの字”につっぱってしまって伸びないために、

着替えの時に痛い思いをしたり…。

なかには見た目を気にされている方もいると思います。

   

  

  

  

これらの症状が起こる原因としては、

神経の働きにより筋肉が異常に緊張してしまうことにあります。

このような手足のつっぱりに対する治療法の一つとして、

ボツリヌス療法というものがあります。

以前のブログで顔面のけいれんの時にも出てきた注射の薬です。

      

  

      

  

筋肉を緊張させている神経の働きを抑えるために注射を打ちます。

すると、

筋肉が柔らかくなり、

つっぱりの痛みが和らいだり、

曲げたり伸ばしたりの動作がしやすくなる、

などのことが期待できます。

また、注射後にリハビリやストレッチを積極的にやることで、

この治療法の効果を最大限生かすことができます。

  

  

    

発症から時間が経っていても効果がでることが多くあります。

つっぱりに悩まれている方は、

一度トライしてみる価値は十分にあると思いますよ。

ぜひご相談をしてみるとよいと思います。

03-3883-6180
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