もの忘れ2
2019年04月19日
「もの忘れが気になる。認知症のはじまりかしら?」
と患者さんが外来を訪れた時には、
まずいろいろな生活のエピソードを聴取します。
その“もの忘れのエピソード”が
一般的にも起こりうるものか
それとも病的なものなのか
という観点で話をきいていきます。
外来で行う評価のひとつとして、10分程度でできる簡単なテストのようなものがあります。
「長谷川式簡易知能評価スケール」 や
「MMSE」と呼ばれるものです。
テスト内容に今日の日付、ちょっとした計算、そして簡単な記憶問題などが含まれます。
すべて正解すると30点満点のテストで、
「おおよそ20点が正常と認知症の境目ですよ」
と便宜的には説明しています。
でも実際には、そう簡単に線引きできる話でもありません。
たとえば100歳に近い方の23点と、
社会でバリバリに働く人の23点、現役教師の23点
を比べるとどうでしょうか。

90歳を過ぎる方ならば23点もとれればすごく良いのではないかと思います。
一方、現役で仕事をされている方が23点ではおそらく仕事に支障があるでしょう。
このように同じ23点でも背景によって判断が変わってきますよね。
これらのテストはあくまでも目安です。
生活背景やエピソードとあわせて総合的に判断していくのです。
実はこのテストは、認知症でなくとも集中力が持続しないと点数が低下します。
次回はこのことについてお話をしましょう。